ずいぶん昔になりますが、子供達がまだ小さい頃、家の近くにある食品加工の工場で
働いていた時期がありました。

そこにパートで入った男性の事をふと思い出しました。

その男性は、55歳で数年前まですし屋を営んでいた人でした。

お酒が好きな人で飲酒運転で対物事故を起こし、後遺症が残った為
すし屋をたたんだという事でした。

その事故は、お店でお客さんとお酒を飲んで、片付けている間に酔いはさめたと思い
車で自宅に帰る途中の出来事だったそうです。

「長い下り坂を気持ちよく走りよって、電信柱が近づいて危ないと思いメーターを見たら
140km出とって、ぶつかる瞬間にはこのまま死ぬんだと思ったよ。
まだ酔っ払っとって気が大きくなっとったんじゃろーね。」と事故の様子を話していました。

次に目が覚めたときは病院のベッドで、頭が包帯でぐるぐる巻きでしたが、
生きているのが奇跡だと思ったそうです。

頭の損傷がひどく、当時顔の真ん中に後頭部から鼻の下まで伸びる傷跡が残っており
頭蓋骨の一部は取り除かれて脳の動きが分かる状態でした。

脳の髄液も少なくなっていて常に頭痛がすると言っていました。

最大の後遺症は、臭覚が全く無くなった事だったそうです。
何を食べても砂を食べている感覚で、何の味も感じなくなってしまったという事でした。

会社のみんなで社内旅行に行く機会があった時に、
その男性が巻き寿司を作ってきてくれたことがありました。

見た目は、さすが本職!!と言わせるほど綺麗で美味しそうなのですが、
一口食べてみると塩辛くて沢山食べることは出来ませんでした。

臭覚が無く味が分からないというのは、こういう事なんだと実感しました。

その後遺症のせいで、すし屋を続けることが出来なくなった為の借金と
度重なる手術費用の為の借金で、家と家族を失い自己破産してしまったという事でした。

私は、今はお酒を止めてしまいましたが、当時この男性の体験談を聞いて
本当に怖くなりました。

そのせいか、その頃お酒を飲む機会が結構あったのですが、
タクシーで帰ればいいのに飲み仲間を巻き込んで夜中の酔っ払いウォーキングを
したことも多々ありました。
(1〜2時間歩く事もざらだったので、当時みんなにはとても迷惑だったに違いありません。)
おまけに酔っ払っているので、足を捻挫したり転んだり、
朝起きると記憶の無い傷が出来ていたり、かばんが壊れていたりした事もありました。
恥ずかしい話ですが、まさに”若気の至り”でした。

これからビールの美味しい季節ですが、皆さん飲酒運転だけはしないでくださいね。
一瞬の出来事でそれまで築き上げたものや、大切なものを無くしてしまわないように。


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